音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

香しき演奏~ジュリーニのドビュッシー、ラヴェル

世間は大型連休(GW)―中には9連休という方もいるそうで、うらやましいことでありす。

私は昨日が休日出勤となりましたので、本日から休みですが、ニュースでは「GW後半になりました・・・」などと言われると気分はもう、来週の仕事の段取り等が頭に浮かび、憂うつになります。。。しかし、気候は春。

その春の空気を感じると、ききたくなるのがドビュッシーラヴェルなどのオーケストラ作品で、カルロ・マリア・ジュリーニ:指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(録音:1994年ライヴ)のディスクをききました。 

 

       

 

まずはドビュッシー交響詩「海」からー
第1楽章「海の夜明けから真昼まで」 冒頭のくっきりとした明瞭な響きに惹きつけられます。でもその音は決して冷たくない温もりのあるものです。続く第2楽章「波の戯れ」でもその特徴は同様です。
また、ここでは波のしぶき、輝きやその上を流れる風まで想像できるほどの見事な―ドビュッシー以前には誰も書いていなかったオーケストレーションがきき所ですが、新しい響きに当時の聴衆だけでなく、初演から100年を過ぎた現在の私たちきき手も魅了します。
第3楽章「風と海との対話」も含めて、そういった音楽はコンセルトヘボウのような腕利きのオーケストラでこの曲をきく場合に「どんな輝かしい音をきかせてくれるのだろう」ときき手は前に乗り出し期待しますが、この演奏はそういったものとは無縁とは言いませんが正反対にあるといえるかも知れません。シャルル・ミンシュの指揮した曲の持っているリズム・音色を最大限に引き出した演奏ではきかれなかった陰影を一段と掘り下げ、そこに緊張感が加わり力強い音楽ということを感じることができます。
 
次はラヴェル組曲マ・メール・ロワ」です(こちらは1989年の録音)

この曲はずっと昔、まだジュリーニが現役で指揮活動をしていた頃、NHK-FMで放送されたベルリン・フィルに客演したコンサートをきいて以来、好きになった音楽のひとつで、彼の多いとはいえないレパートリーの中でも得意の作品だったらしく、何度か演奏会で取り上げて、録音もこれ以前にもしていたそうです。

その頃の私が(10代後半)ジュリーニに感じていた印象は「生真面目で地味な演奏家」といったもので、年齢を重ねてきたから、その遅いテンポも許されて巨匠扱いされるのだろう。と放送もエア・チェック(懐かしい言葉!今では「死語」ですね)しないできいていました。当時のメモを見返したのですが、プログラムは他にチャイコフスキーの第2番のシンフォニーもあったと書いてありますが、記憶に残っていません。しかし、ラヴェルだけは第1曲「眠りの森の美女のパヴァーヌ」から森林の中からモヤがかかったようにして、幻想的な音楽が静かにきこえてくるところに魅かれました。

このディスクでも、第1曲や第2曲「おやゆび小僧」では幻想的な響きがとても繊細で情感があり、第3曲「パゴダの女王レドロネット」の割れ物をそっと触れるみたいな表現がエレガンスにきこえます。また全5曲を通じて管楽器(特に第3曲の2分00秒くらいのクラリネットとフルート)の音色が美しいことも魅力です。
組曲マ・メール・ロワ」ちょっと他と比べると軽い作品という扱いですが、こういった最上の演奏できくと、とてもいい香りのする演奏と表現したくなります。

また、カップリングされている、「牧神の午後への前奏曲」「亡き王女のためのパヴァーヌ」も私が至らない文章で書くまでも無く、多くの方に好感・納得いただける演奏であると信じています。

最近はテスタメント・レーベルの新譜情報を見聞きしませんが、以前ジュリーニベルリン・フィルのライヴなど、ヒストリカル・ファン注目のディスクを発売していたので、FM放送できいた演奏会も出してほしいです。あと、カラヤンベルリン・フィルの公演も期待したいです。