音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

視聴記:ベートーヴェン「田園」(クレツキ指揮フランス国立管弦楽団)~新たな発見と感謝

以前投稿した今週のお買い物の記事でベートーヴェン交響曲第6番「田園」パウル・クレツキ指揮フランス国立管弦楽団(コンサートホール原盤)のレコード購入について書いたところ、読者の方から若いときにきいたことがあり、良い演奏だった記憶があるというコメントをいただきました。

それは!と思いきいてみた視聴の感想となります。

レコード自体は経年劣化と保管状態が悪かったのでしょう、盤面の汚れがあり落とせませんでしたので針音ノイズがあります。しかし、コンサートホール原盤とはいえ、盤に厚みがある作りとしてはしっかりしている方です。

肝心の演奏について。

まず木管の音色が印象的です。特にオーボエクラリネット。短絡的ではありますが、フランスのオーケストラの音色を感じることができます。まだ国ごとにオーケストラの特徴があった時代の音といえるかもしれません。

例えば第2楽章の54小節からの主題展開部や終止部129小節~いうまでもなく、カッコウやウズラを始めとした鳥の鳴き声の模倣を木管楽器が吹くところなどはエレガンスな感じを受けます。

そしてこの楽章からは、交響曲第9番の第3楽章にも通じる自然愛・友愛といったものや安らぎを感じますが、それだけでなくややキリッとした小川の水の冷たさも感じさせる品格の良さがあります。

あと木管楽器では、第3楽章の173小節のフルートの音色もきれいです。

弦楽器群はオーケストラの技量的なものなのか、古いLPレコードできいているせいか分かりませんが、第4楽章の嵐におけるうなりでは軋むような響きがきこえてきます。アンサンブルもギリギリで機能しているのでは?とも感じるところもありますが、それが綺麗に整えられて機能的にきこえるベートーヴェンよりもよほど芸術的筆遣いで創られた演奏と思います。きき逃したり、埋没してしまうフレーズが顔を出したり、内声部への気配りもされている丁寧なところやダイナミックなところを持ち合わせた興味深い演奏です。

クレツキという指揮者のイメージはEMIの50年代~60年代のまだ王道ではなかったマーラーポリーニとのショパンの協奏曲を録音していることから、レパートリー穴埋め便利屋指揮者&伴奏指揮者の扱いなのだろう。という認識でした。しかし今回、購入したレコード紹介から読者の方によるコメントにより、新たな発見があったことに感謝です。

今後も皆様からのコメント、ご教示などいただければ幸いです。