音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

不定期投稿:最近のお買い物から~中古LPレコード購入

連休中のLPレコードを中心とした買い物の投稿にお付き合いください。

私の住む地元のほぼ唯一の中古レコード・CDを専門的に扱っているお店に出掛けてきました。地方都市ということもあるのでしょうか、都心やネットだとそれなりの価格のする商品がお手頃なお値段で販売しているとても良心的なお店です。

昔は中古ディスクを買う時は良く利用させていただいていましたが、ここ10数年はお店の前は通りましたがご無沙汰をしておりましたが、昨年LPレコードを購入して以来の訪問です。

以下が捕獲(購入)した商品です。

 

ブラームス交響曲第1番 (レコード番号:グラモフォン SLGM-29)

 指揮:カール・ベームベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

70年代のウィーン・フィルとの全集録音も名高いですが、こちらは1959年の録音です。以前NHK-FMできき「質実剛健」という言葉がふさわしいと思いました。フルトヴェングラー時代の音が残るベルリン・フィルとの共演、第1番のみ録音されたのは不思議です。この時期に全曲録音はカラヤンとの兼ね合いがあってできなかったのでしょう。

盤が厚くメジャーレーベルの質感が伝わってきます。

 

〇ニールセン:交響曲第4番「不滅」 (レコード番号:グラモフォン:28MG 0248)

 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤンベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤンは1980年代、録音技術もデジタル時代になって突如レパートリーに加え商品化した作品があります。このニールセンもそうですが、サン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」、R.シュトラウスアルプス交響曲、オペラではプッチーニの「トゥーランドット」、ヴェルディの「仮面舞踏会」など。

なぜそれらを録音したのかも不明で、演奏会で振った記録も無い作品もあり、その全ての演奏が成功しているかというと、ただデジタル録音の音質向上を目玉にレコードを売りたかった??という理由くらいしか思えないものもあります。

CDでもききましたが、帯付き税込500円!

カラヤンのディスクのオリジナル・ジャケットデザインは秀逸ですよね。悪口で「演奏の中身の無さをジャケットでバランスを取っている」云々とも言われますが・・・。ニールセンはドイツ音楽の伝統を継承したような重厚な響きの演奏で、この作品をメジャーにしといっても過言ではない録音です。

 

〇J.シュトラウス:喜歌劇「こうもり」 (レコード番号:東芝EMI EAC47279-80)

 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤンフィルハーモニア管弦楽団

この作品は本当に何年かに一度、カルロス・クライバーのCD(ドイツ・グラモフォン盤かバイエルン国立歌劇場での〇賊盤)やDVDで鑑賞するくらいの作品ですが、帯付きで税込580円でしたので参考比較用として購入。

ウィーンを代表するスター歌手をスタジオ録音のためにイギリスまで招聘した贅沢なディスクです。この頃のEMIはウォルター・レッグの政治力!?を背景に働き盛りのカラヤンの颯爽として、後年のようなレガート重視ではない筋の通った録音をたくさん残してくれており、このシュトラウスもウィーン圏外の新興楽団がウィーン圏中心の歌手たちと共演する興味深い録音です。

 

マーラー交響曲第5番 (CD番号:東芝EMI TOCE-55463)

 指揮:サイモン・ラトルベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

こちらはCDでベルリン・フィル音楽監督就任記念の演奏会ライヴ録音です。彼のインタビュー&過去のマーラー録音抜粋のボーナス・ディスク付き枚組です。

NHK-BSで放送されたのを観たので発売当時は購入しませんでしたが、380円(税込)だったのでラトルのマーラーを改めてきいてみたくなり購入しました。

前任のアバド就任の時もマーラーの第1番「巨人」が演奏され、ベルリン・フィルに限らずマーラー華盛りの時代でした。これもディスク化されましたが、現任のペトレンコの録音はもっぱら楽団の自主制作盤だったり、ネット配信であったり、レーベルからの発売ではないせいか個人的には接し方が難しいです(自主制作盤もコストがかかっていることは分りますが実勢価格が高すぎです)

今回は地元の数少ない、ほぼ唯一の中古レコード・CDを取り扱っているお店での購入記録の投稿でした。

お付き合いいただきありがとうございました。

音楽家の虚飾と真実~「だれがクラシックをだめにしたか」(音楽之友社刊)

「だれがクラシックをだめにしたか」(原題:When The Music Stops)ノーマン・レブレヒト 著、喜多尾道冬・田崎研三・斎藤道彦・稲垣孝博 共著(音楽之友社刊・2000年12月初版)を読み終わりました。

ブレヒト氏の著作は以前「巨匠神話」を読み指揮者という職業が登場以来どれほど虚飾に溢れたものだったかを知り、今までの評論家による紋切型の指揮者イメージを覆されたイメージがあります。

今回読んだ著作もその続編ともいえるもので、音楽界を裏で牛耳っているプロモーター・ビジネスの登場からその黄昏まで、スポーツなどからの比喩を用いたりしながら直接的に批判・避難していく内容です。

出版から時間が経過しているので情報ソースとしては古かったり、既に知っている内容や「巨匠神話」と重複してくるところもありますが、読む前と後ではクラシック音楽に触れる上でひとつのフィルタが追加されたようになり、安易に「感動した」「心が動かされた」「涙が出てきた」などと素直に言えなくなり、逆に言っている(書いている)人の言葉には警戒感を持つようになります。

著者は音楽プロモーターの存在をパガニーニ、リストに見出し、演奏家の活動範囲が国際的になると各都市・各国へ先回りして演奏会場の確保からチケット販売の広告宣伝、演奏者のイメージ戦略=プロモーション、貴族など貴賓とのレセプション手配までする必要が生じます。それを仕切れる能力を持った人物が手腕を発揮すると共にそれがビジネス化しました。その象徴的な存在としてアメリカのコロンビア・アーティスツ・マネジメント社(CAMI)とカラヤンにあるとしています。

「巨匠神話」でもそうでしたが、この両者は徹底的に標的にされており、今回はCAMIの顔でもあった(但し顔見せNG・私生活もシャットアウトの人だったそうですが)ロナルド・ウィルフォードがどのように社長の座を強奪し、ビジネスを拡大していったことも書かれています。

同様に他の音楽事務所やレーベルの社内抗争や栄枯盛衰が書かれていて、同じようなことを社会生活でも体験したり、見たりすることもあるので納得したり、役に立つ情報もありました。

カラヤンについては「巨匠神話」と同様に、ナチス入党の経緯や大戦後の行動についても収入・資産を交えて徹底的に掘り下げていきます。彼の著作は直接の取材だけでなく、数字・統計に基づく執拗な追究が特徴なので著者の思い込みだけでない主張を感じます。

例えば第7章は「音楽を金銭に換算すれば」というそのものズバリの章では175ページからカラヤンが富を増やす方法から脱税(節税?)と利益誘導について、第9章「音楽祭顛末」ではナチス政権下から大戦後をいかに生き延び、ザルツブルク音楽祭の芸術監督に就任して私物化したかを書いています。そして1989年7月16日その音楽祭直前に亡くなりますが、その時に居合わせたのがソニーの社長、大賀典雄氏です。

そのソニーについても第14章「ガラスの三角の内側で」において書かれています。著者はソニー本社にも取材をしていることが窺われる章になっています。

そこではソニーの発展から迷走と低迷―大賀社長に振り回されてセールス的に期待できないアバドとの録音から赤字の補填、クラシック事業の縮小・・・これもカラヤンがあと数年でも存命なら映像収録などで稼ぐことができたかもしれない―恐らく大賀社長がカラヤンの亡くなる時に居合わせたということは、これからの儲け話をしていたのだろうと思っていますが―。

各章では皆さんも知っている演奏家たちが次々とレブレヒト氏の標的にされます。それだけ音楽プロモーターが時代と共に必要不可欠な存在として巣食うようになり、暗躍する姿が書かれています。

一時期「三大テノール」として世界を席巻したパヴァロッティドミンゴカレーラスについても音楽ビジネスの成功例?のように第10章「もしスターになりたいのなら」に登場します。膨大なギャラとプロモーション。そのパヴァロッティドミンゴブレヒトの容赦無い批判が淡々と書かれています。

そして「あの演奏家は今?・あのディスクは今?」みたいに思ったのは第10章に登場するチェリストのオーフラ・ハーノイとヴァイオリニストのナージャ・ソレルノ=ソネンバークです。

前者はRCAから、後者はEMIから、当時の女流演奏家のプロモーションの常套手段であった「女性」をセールス・ポイントとしてモデルや女優のようなスタイルで撮影されたCDジャケットが著者曰く「脱音楽的な売り込み」のやり方として登場します。

ハーノイはヴィヴァルディのチェロ協奏曲を、ソネンバークはメンコンをきいた記憶はありますが印象に残っておらず、引っ越しているうちにどちらも手元から消えていました。現在も活動はしているのでしょうか?

あのディスクは今?と思ったグレツキ交響曲第3番(ソプラノ:ドーン・アップショウ、デイヴィット・ジンマン指揮ロンドン・シンフォニエッタ)です。恐らくワーナーのクラシック音楽セールス史上、抜かれることの無い断トツ1位でしょう。

著作によると3年間で約75万枚を売り上げたそうです(2匹目のどじょうを狙った他社から同曲異盤が5枚発売されても)しかし、それ以降グレツキの同曲も含めて他の作品が継続的にきかれるようになったかというと・・・。

それともう1枚「グレゴリアン・チャント」(サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院:EMI)。これも「癒しブーム」に乗って第2弾くらいまで発売され、他のレーベルから類似品も発売されたと思いますが・・・今では中古CDが100円になっています。

そういったことは現在でも形を変え、演奏家の不幸な生い立ちや障碍を前面に出したり、ニュー・イヤーコンサートをイベント化して熱の冷めないうちに1月中の最速リリースをしたり。このパッケージソフトが売れない時代にセールスに必死なのが伝わってきます。まるで「買い手は演奏の中身には興味が無いでしょう」というレーベルの姿勢が伝わってくるのが癪ですが。

後半の章ではクラシック音楽が完全にイベントを含めたビジネスとなり、投資対象とされレーベルのM&Aなどにより、ズタズタにされていく業界を描いています。その著者が光明をみいだしているのが「マールボロ音楽祭」「ナクソス・レーベル」「ハイぺリオン・レーベル」などです。しかし、初版発行から20年以上が経過し、インターネットによる発信、ハイレゾ、ストリーミング再生などCDなどのソフトに依らない音楽再生が可能となり、最後の第15章「クラシック音楽コカ・コーラ化」で書かれている「聞きたいときに聞きたいものの提供」が究極の形で構築され、大きく変貌しました。

スマートフォン、パソコンがあれば世界中のあらゆるジャンル・音源・演奏家にボタン操作だけで接することができます。そこからクラシック音楽の本質をききとることができるかは解りませんが。

本の最後にはフィナーレとして演奏家のギャラ一覧掲載があります。古い情報にはなってしまっていますが、他人の財布を眺めるだけと思って読むと面白いです。

以上、読後のビフォーアフターに大きな変化があった著作の感想の投稿でした。

マウリツィオ・ポリーニさん追悼②~思い入れディスク紹介

マウリツィオ・ポリーニさん追悼投稿の第2回目となります。

以前紹介できなかったおすすめのディスクを取りあげます。

定番のショパンベートーヴェンは皆様もご存じで、推奨する方も多いと思いますので、あくまで個人的な思い入れディスクとなります。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番・第23番(録音:1976年)

ピアノの美しい音!モーツァルト演奏の典型ではないでしょうか。これは共演がカール・ベーム指揮するところのウィーン・フィルということも影響しているのでしょう。

ポリーニのピアノがあのリストやバルトークの時とは異なって主張しすぎることがなく、きく方によってはあまりにもあっさりしすぎていると感じるかもしれませんが、典雅な弦楽器の音色、デリケートな木管楽器の調べ―ウィーン・フィルの美しい艶やかな音色(「ねいろ」と表現したくなる)と見事にマッチングしています。特に第23番の第2楽章にその共演効果が最も表現されていると思います。

このメンバーで他のコンチェルトも録音しておいてくれれば―第24番、第27番とか。。。後年のウィーン・フィルとの指揮&弾いたディスクもありますが、やはり当時のポリーニベームウィーン・フィルで残しておいて欲しかったです。

シューベルト:歌曲集「冬の旅」

これはディートリヒ・フィッシャー=ディースカウポリーニと1978年のザルツブルク音楽祭で共演したライヴのディスクです。正規リリースされたのは約30年以上経過してからでした。この二人の共演はその後実現しませんでした。バレンボイムリヒテルブレンデルペライアなどの名手とこの歌曲集を録音していったフィッシャー=ディースカウですが、ポリーニと正規録音を残さなかったのは演奏家の同士の問題か、レコード会社の問題か謎です。

ライヴという空間が両者をナーバスにさせていてるのか、良い緊張があるのでしょうか、この劇的な表現はまさに「極北の世界」。

印象に残る部分は第1曲「おやすみ」ピアノの弱音がクリアなこと!―第5曲「菩提樹」第2小節休符2つの絶妙な間合い(第27小節でも同様です)そして「AmBruner」と歌いだす詩の美しさ!―第11曲「春の夢」でははかない夢を断ち切るピアノのフォルテッシモの打鍵-第20曲「道しるべ」第7小節辺りの静けさ―死の淵を覗き込んだような瞬間にゾッとします。

そして最後の第24曲「辻音楽師」溶けることの無い、見渡す限り雪景色とひなびた寒村の風景。静粛の中から音楽を創り上げるシューベルトの才能がここに結晶となり描かれていると思います。

拍手が入っていますが、音の余韻が消えてから次第に大きな拍手になっていくのがいいです。その場に居合わせた聴衆も音楽に心を奪われたのだろう、と感じる瞬間ではないでしょうか。

今週は3月23日亡くなったマウリツィオ・ポリーニさんの追悼として個人的おすすめ(思い入れ)のディスク紹介でした。

 

不定期投稿:最近のお買い物から~中古LPレコード購入

今回はLPレコード購入メモの投稿にお付き合いいただければ幸いです。

以前にも書きましたが、自宅から車で10分程の所にあるHARD OFF(エコ・リユース・ファクトリー)では1枚税込110円のLPレコードが段ボールに入れられ、ジャンル混在、状態が悪いものまで雑多に置かれています。その中に「コンサート・ホール・ソサエティ」のレコードが多数あり、その飾り気の無いジャケット(基本2色くらい色を使った絵か、収録曲と関係の無い写真)に最近ハマりコツコツ収集をはじめたところだったので、「これは!」と喜び勇んで捕獲してしまった、その報告となります。コアな内容ですがお付き合いいただければ幸いです。

「コンサート・ホール・ソサエティ」とは第2次世界大戦後にアメリカで設立された会員制&廉価によるレコードの通信販売で世界中に波及した頒布システムです。日本でもステレオ・ブームの波に乗り販売されていましたが、次第に経営不振となり事業停止となったことから、残された膨大な録音は一部メジャーなもの以外、現在では入手困難になっているそうです。

知られている録音はシャルル・ミンシュの幻想交響曲ピエール・ブーレーズ春の祭典などですが、実態の分からないオーケストラの録音なども多数あり玉石混合のレコードと割り切って、その宝探し&怪しさ(当たり外れ)が面白いです。

しかし、以前きいたウラド・ペルルミュテールのショパンパウル・クレツキの「田園」など興味深いレコードがある事を知り、CD化されているものを除き興味があるものから集めています。

今回捕獲したレコードは以下の4枚です。

 

チャイコフスキーバレエ音楽「眠りの森の美女」抜粋(SMS-2570)

 指揮:ロリン・マゼール/ベルリン放送交響楽団

この頃のマゼールの録音は後年のようなアクの強さがなくてその演奏様式はべつとして音楽の良さをストレートに引き出してくれるものが多いです。バッハのブランデンブルク協奏曲管弦楽組曲、ミサ曲ロ短調など。

チャイコフスキー交響曲や「1812年」などの管弦楽曲ウィーン・フィルと録音していたと思いますが、バレエ音楽の録音は知りません。

 

モーツァルト交響曲第29番・第25番(CHJ-30043)

 指揮:ロリン・マゼール/ベルリン放送交響楽団

同じくマゼールが指揮した珍しい!モーツァルト。正規としては唯一の録音ではないでしょうか?後期3大交響曲は取り上げているかもしれませんが。初期を代表する傑作2曲の交響曲を若きマゼールがどのようにきかせてくれるか気になります。

 

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 (CHJ-30050)

 ヴァイオリン:ダヴィド・オイストラフ

(レコードの表記はダヴィッド・オイストラッフ)

 指揮:キリル・コンドラシン/ソヴィエト放送交響楽団

こういった大家の録音もあるのがコンサート・ホール・ソサエティの魅力です。オイストラフはEMIにアンドレ・クリュイタンスと録音があり、コンドラシンは後年ロンドン・レーベルにウィーン・フィルを振ってチョン・キョンファとも共演をしています。

ソヴィエト放送交響楽団はきいたことはない謎のオーケストラです。

 

ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」 (CHJ-30052)

 ソプラノ:マリア・シュターダー/アルト:ソフィア・ヴァン・サンテ

 テノール:エリック・タピー/バリトン:フランツ・クラッス

 合唱:アムステルダム・トーンキュンストコール

 指揮:ウィレム・ヴァン・オッテルロー/ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団

オッテルロー(1907-1978)は一部のマニアにきかれているオランダの指揮者です。

オッテルローにはベルリン・フィルとの「英雄」のマニア推薦のレコードがありますが、この大曲をどのように仕上げているか気になります。

独唱者はソプラノのシュターダーとテノールのタピー以外は知りません。

このハーグ・フィルハーモニーはオッテルローが常任を務めていた楽団とのことです(私にはカール・シューリヒトとブルックナー交響曲第7番を録音しているオーケストラという印象です)なぜかアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したという記録がないのが不思議です。また、活動もほとんど同オーケストラとのもので、海外での活動もほとんどありません。政治的な絡みとか第二次世界大戦とかが影響しているのでしょうか?

その逆に同国出身で少し先輩のエドゥアルト・ファン・ベイヌム(1901-1959)は戦前からコンセルトヘボウ管弦楽団を指揮しており、大戦後に常任指揮者のメンゲルベルクが戦犯容疑で追放されると副指揮者のベイヌムが昇格してその地位に就き、海外オーケストラ客演やロンドン・フィルハーモニーの首席指揮者などにも就任しています。

同世代の2人の実力があった指揮者の活動がこうも違っているのか?特にオランダの指揮者の情報は少ないのでその辺の事情が分かる方がいらっしゃればご教示下さい。

他にもハインツ・ワルベルク指揮ウィーン交響楽団とのブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」や正体不明の団体によるバロック音楽集、クリップやスワロスフキーによるシュトラウスのワルツ集、知らない演奏家など、110円とはいえ購入に躊躇するビミョーなアイテムは保留しました。

ただ、この時代に限らずLPレコード時代はあまり録音データへの執着がなかったのか、収録年月日や場所の表記がないものばかりで解説から推測したり、ネットにあたってみたりの必要があります。

以上、今は無きコンサート・ホール・ソサエティのLPレコード収集記録でした。

レコード買い物メモの投稿にお付き合いいただき、ありがとうございました。

追記:この連休は私学に通っている息子の野球応援の予定でしたが、まさかの春大会は2回戦負け・・・予定が空いてしまったので週末はブログ投稿の連投をしてみたいと思います。

視聴記:ベートーヴェン「田園」(クレツキ指揮フランス国立管弦楽団)~新たな発見と感謝

以前投稿した今週のお買い物の記事でベートーヴェン交響曲第6番「田園」パウル・クレツキ指揮フランス国立管弦楽団(コンサートホール原盤)のレコード購入について書いたところ、読者の方から若いときにきいたことがあり、良い演奏だった記憶があるというコメントをいただきました。

それは!と思いきいてみた視聴の感想となります。

レコード自体は経年劣化と保管状態が悪かったのでしょう、盤面の汚れがあり落とせませんでしたので針音ノイズがあります。しかし、コンサートホール原盤とはいえ、盤に厚みがある作りとしてはしっかりしている方です。

肝心の演奏について。

まず木管の音色が印象的です。特にオーボエクラリネット。短絡的ではありますが、フランスのオーケストラの音色を感じることができます。まだ国ごとにオーケストラの特徴があった時代の音といえるかもしれません。

例えば第2楽章の54小節からの主題展開部や終止部129小節~いうまでもなく、カッコウやウズラを始めとした鳥の鳴き声の模倣を木管楽器が吹くところなどはエレガンスな感じを受けます。

そしてこの楽章からは、交響曲第9番の第3楽章にも通じる自然愛・友愛といったものや安らぎを感じますが、それだけでなくややキリッとした小川の水の冷たさも感じさせる品格の良さがあります。

あと木管楽器では、第3楽章の173小節のフルートの音色もきれいです。

弦楽器群はオーケストラの技量的なものなのか、古いLPレコードできいているせいか分かりませんが、第4楽章の嵐におけるうなりでは軋むような響きがきこえてきます。アンサンブルもギリギリで機能しているのでは?とも感じるところもありますが、それが綺麗に整えられて機能的にきこえるベートーヴェンよりもよほど芸術的筆遣いで創られた演奏と思います。きき逃したり、埋没してしまうフレーズが顔を出したり、内声部への気配りもされている丁寧なところやダイナミックなところを持ち合わせた興味深い演奏です。

クレツキという指揮者のイメージはEMIの50年代~60年代のまだ王道ではなかったマーラーポリーニとのショパンの協奏曲を録音していることから、レパートリー穴埋め便利屋指揮者&伴奏指揮者の扱いなのだろう。という認識でした。しかし今回、購入したレコード紹介から読者の方によるコメントにより、新たな発見があったことに感謝です。

今後も皆様からのコメント、ご教示などいただければ幸いです。

Selct Classic(15)~ニールセン:カンタータ「フューン島の春」

カール・ニールセン(1865~1931)はデンマーク生まれで、フィンランドシベリウスノルウェーグリーグと並ぶ北欧御三家?といえる作曲家といえます。作風は20世紀まで生きていましたが、19世紀のロマン派の音楽を指向してるので耳に入ってきやすいです。私は彼の作品はそんなに多くきいているわけではありませんが、今回ご紹介する1921年に完成された独唱、コーラスと管弦楽によるカンタータ「フューン島の春」作品42はこの季節にふさわしい清々しい気持ちになる作品です。

ニールセンの出身地フューン島(ノーレ・リュンデルセという村で生まれたそうです)へのふるさと賛歌といえる作品で、1分から2分位の8曲がその地の風景を描写していきます(歌詞はデンマーク語で歌われます)

第1曲「雪がとける時の芝生の緑のように」は合唱とオーケストラののびやかで美しいく海を渡ってくる風を感じます。その後はソプラノ、テノールバリトンによる各ソロが続き「穏やか」「清らか」な音楽にきき惚れます。しかし、その中でモダンなリズムが箇所もあって、オルフの「カルミナ・ブラーナ」を感じさせるのが印象的です(オルフの方は1936年の作曲)
若者たちは賑やかに、老人たちはあと何回この季節を迎えられるかとかみしめるように、子供たちは無邪気にそれぞれの世代が春を迎えた様子が描かれます。

5曲めには盲目の楽師登場してクラリネットを吹きます。このバリトンによって歌われる音楽は、村の楽師をしていたニールセンの父親へのオマージュといわれています。

終曲では春の到来を高らかに活気を持って謳いあげますが、この部分は一度きいたらしばらくは耳の奥でリフレインしてしまいます。

行ったことは無いですが、フューン島の海や風、牧歌的な空気をたくさん感じられる、長い冬が続いた北欧だからこそ春の到来を喜んでいる様子が伝わってきます。
それが決して声高に自己主張するお国自慢をするような音楽ではないぶん、多くのきき手に愛されるとではないでしょうか?

《Disc》

ソプラノ:オーサ・ベーヴェンシュタム
テノール:シェル・マグヌス・サンドヴェ
バリトン:ペール・ホイエル
ガール・ソプラノ:リンネア・エクダール
ボーイ・ソプラノアンドレーアス・ソルス
スヴェーデン放送合唱団/ストックホルム少年合唱団
スヴェーデン放送交響楽団
指揮:エサ・ペッカ・サロネン

この盤しか所有していませんが、さすが「合唱王国」スヴェーデン。

サロネンの手腕もさることながら透明感ある演奏です。

不定期投稿:最近のお買い物から(LPレコード購入)

先週末、会社の社長と部長と宴席を共にしました。

久し振りの外での飲酒で(最近は自宅でも飲酒の習慣から離れていたことも影響して)ほろ酔いを過ぎ酩酊に近い状態くらいになり、バスで帰宅しようと連絡したら妻が迎えに来てくれることになり、大変有り難く好意を受け、息子の迎えの時間とも重なり待ち時間ができたのでバスターミナルの上階にあるリサイクルショップで時間調整のつもりが、安価でLPレコードが並んでおり、酔っていたせいかベートーヴェンの第9被り購入をしてしまいました。

カール・ベーム指揮ウィーン・交響楽団他 レコード番号:フォンタナ FG-204

モノラルなので恐らく50年代に録音されたものでしょう(レコードには録音年・録音場所の記載なし)面白いのは解説を書いているのが宇野功芳氏。堂々とカラヤンベートーヴェンは表面的で音楽に深みがないから下。ベームのほうは「ベートーヴェンと同じ心」があるから上。と評論なのか、感想文なのか分からない例の論法で語尾は「です」「ます」を使い、このレコードの具体的な音楽上の解釈についての説明は一切無い、読んで後悔するような「悔説」付きです。

 

カラヤン指揮/ベルリン・フィル他 

 レコード番号:ドイツ・グラモフォン SLGM-1305~6

こちらはその「表面的で音楽に深みがない」といわれたカラヤン盤。

60年代に録音されたベートーヴェン交響曲全集から第8番と第9番がカップリングされたレコード(化粧箱入り)です。

レコード番号を調べたところ、国内初発売時のもののようです。

2枚組なので贅沢なカッティングとなっており、1枚目のA面に第1楽章、B面に第2・3楽章、2枚目のA面に第4楽章、B面に第8番のカッティングなので、第9のLPレコード「あるある」の第3楽章の途中で盤を裏返す必要がありません。

私のベートーヴェン交響曲全曲初体験はこの60年代のCDでした。今でも80年代の録音(映像も)と共にカラヤン交響曲全集では好きな演奏のひとつです。

発売当時はカラヤンベートーヴェン交響曲のレコードといえば高級アイテムで(それも第9番!)、4千円とか5千円とかしていたのでしょうか?それが今では330円(税込)で投げ売りのように他の中古レコードに混ざっているのを見て隔世の感があり、つい手に取ってしましました。

以上、酔っていて迎えが来るからバス代浮いた。とでも思ったのか、中古レコード購入の記録でした。

完聴記~アーノンクール/ロイヤル・コンセルトヘボウBOX⑦

今週はアーノンクールロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団による未発表放送録音集の完聴記シリーズVol.7(CD12)の投稿となります。

曲目・演奏家・録音データは以下の通りです。          

CD12

ブラームス:悲劇的序曲 Op.81 録音:1996年5月12日

ブラームス交響曲第3番へ長調 Op.90  録音:1996年1月20日

ドヴォルザーク:聖書の歌 Op.99

クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン) 録音:2004年11月28日

 

ブラームスの「悲劇的序曲」から―重々しく厚ぼったく演奏され、いかにも「悲劇的」を強調・意識させるような演奏が多いですが、やっぱり新しいきき方の提示になっています。とてもクリアで各フレーズ、モチーフを明確にきかせ、悲しみの表現のみならず憧れ・追想ロマン主義的なダンディズムも感じる演奏です。

「悲劇」「悲しみ」に浸るというよりも、あくまで「悲劇的」というのは題材で、そこから派生、展開させていく手法をブラームスは楽しんでいると思わせる作品としてきこえます。

主要主題はカッコよく、印象的なメロディーもたくさん出てきますし、和音やメロディーの反復はシューマンからの影響でしょうか?

同年の1月に演奏された交響曲第3番。第1楽章の51小節からの木管の音階の上下降が印象的に表現されています。押しとどめようとしてもどうしようもないような表現。

珍しく!?極端な表現をしていないベルリン・フィルとの録音と同様で、この交響曲が持っているそこはかとなく漂う哀愁をきかせてくれます。

第2楽章、クラリネットによる第1主題の提示部―これがとても古風な響きで郷愁を誘います。それがこだまのように拡がっていく所が素晴らしく、スラーの指示も徹底しています。

128小節のトロンボーンの吹奏はワーグナー風の響きなのが印象に残ります。

第3楽章では61小節から繰り返されるフルートによるモチーフが、交響曲第4番の終楽章と通じているのでは?と思わせます。

第4楽章は後半に進むに従い弦楽器と管楽器のバランスが重要になってきますが、絶妙なバランスできこえます。特に250小節~dimとPの扱い、金管が加わるとより荘重で厳かな空気感と空間を創り出しています。

ディスク3曲目は、独唱がバリトンクリスティアン・ゲルハーヘルによるドヴォルザークの「聖書の歌」です。

往年の名歌手フィッシャー=ディースカウがレパートリーにしていたので作品の名前は知っていましたが、今回初めて接しました。

ドヴォルザークアメリカ在住期間中1894年の作品で、テキストはタイトル通りチェコ語の聖書に基づく10曲から成る作品集です(各曲の演奏時間は約2~3分)

出版時は独唱とピアノ伴奏の作品でしたが、後に1曲目から5曲目を1895年に作曲者自身が、ドヴォルザークの死後1914年にツェマーネクというチェコ出身の指揮者によりオーケストラ伴奏に編曲されており、当然ながらこの演奏はその編曲版によるものです。編曲自体はオーケストラの編成も含めシンプルなもので、テキストに添った情景を演出するものであります。

全体にテキストがチェコ語ということもあり、特殊な響きであります。しかし、音楽自体はメロディー・メーカーらしく複雑なところは無く、賛歌風であったり、バラード風であったり、静けさと美しさのある曲が多いので耳馴染みのよい曲が並んでいて、クリスマス頃の夜にきくのに最適な音楽のひとつではないでしょうか?このディスクで魅力を知ることができました。

テキストに基づく音楽表現がされていくので、きいていても変化があり飽きさせません(そのテキストがブックレットに付属していないのは残念ですが・・・)

オーケストラの響きは意図してなのか、ワーグナー風の金管吹奏がきこえたり(第1曲)、マーラー風であったり(第3曲)興味深いです。アーノンクールさんは全体的に音楽の持っているデリケートな面と宗教的な祈り、喜び(賛歌)をしっとりと描き出していて、ドヴォルザークはきっと祖国の風景や親しかった人々との出会いと別れに思いを馳せながら作曲したのだろうと思いました。

今週は第7回まできた完聴記シリーズでした。

お付き合いいただきありがとうございました。

不定期投稿:最近のお買い物から(LPレコード購入)

今週は先日投稿した書店の中古レコードセールの購入(捕獲)記録の第2弾となります。新入荷があるかと思い覗いたらまた購入してしまいました・・・。 

 

ワーグナー管弦楽曲集Vol.3 レーベル:東芝 番号:EMI WF-60030

 指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラーウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ベルリン・フィルフィルハーモニー管弦楽団

「永遠の巨匠~フルトヴェングラーの芸術」のシリーズとして発売されたものの1枚。高音質のCD等でも入手可能な録音ですが、楽劇「神々の黄昏」~ジークフリートのライヘンの旅・「パルジファル」~第1幕への前奏曲聖金曜日の不思議・「トリスタンとイゾルデ」~前奏曲と愛の死といったカップリングもいいですが、「神々の黄昏」以外は第2次世界大戦前のベルリン・フィルとの録音なのでレコードできく音質にも興味があり、先日購入したフルトヴェングラーの55枚CDセット収録演奏との比較用としてゲットしました。税込390円。

 

ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」 

 レーベル:HELIODOR 番号:MH-5009

 指揮:フェレンツ・フィリッチャイ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

私の偏愛指揮者フリッチャイの有名な録音のひとつ。豊かな歌に溢れた演奏です。

こちらもCDとの音質比較用として購入しました。税込390円。

 

以上今回はLPレコード購入の投稿でした。

お付き合いいただき、ありがとうございました

マウリツィオ・ポリーニさん追悼①

マウリツィオ・ポリーニさんが3月23日に亡くなりました。1942年の生れですから82歳、近年は体調を崩されて演奏会のキャンセルも多かったそうです。

彼はなんといっても現在最高のピアニストのひとりでした。ここでわざわざ経歴を書くまでもないですが、1960年18歳の時に出場したショパン国際ピアノコンクルールで優勝して注目を浴びますが、他の優勝者のように華々しい楽壇へのデビューを避け、何年間か勉強・研鑽期間を経て1968年に国際的な活動を始めました。

圧倒的なテクニックと洗練された音色で主にドイツ・グラモフォンに録音されたディスクは、現在まで名盤と呼ばれるものばかりです。

しかし、それ故に彼は「完璧主義者」を求められ、その重圧からナーバスにもなっていたのではないでしょうか?活動やレパートリーの選定から演奏活動・録音にも影響していたようにも思います。

私が音楽をきき始めた頃、ポリーニアルゲリッチアシュケナージバレンボイムと共に世界最高のピアニストという評価が確立している1990年代だったので、NHK-FMなどの海外公演や来日公演をエア・チェックしてきいていました。しかし、ポリーニを意識してきくようになったのはここ10年くらいです。

今まできちんときいてこなかったショパンを勉強しようと思いポリーニアルゲリッチの演奏をきいてショパンへの理解が深まり、同時にポリーニショパンも強く惹かれました。

彼のレパートリーは興味深く、バッハからブーレーズなどの現代音楽まで録音を残しておりますが、慎重に選び演奏・録音したと思います。

そのようなポリーニが残した録音から私のきいた限りの中で個人的オススメ・ディスクについて記載して偲びたいと思います。

 

〇リスト:ピアノ・ソナタ他 (録音:1989年)

初めて買ったポリーニのディスク。高校生の頃に中古ディスクショップにて数百円で購入したものです。

ピアノ・ソナタと名付けられているものの異色の作品という解説の通り、全く理解できずにきいていました。カップリングされている後期の作品(灰色の雲・凶星!・悲しみのゴンドラⅠ・リヒャルト・ワーグナーヴェネツィア)も漆黒の音楽をきかされているみたいで、訳がわからずきいていました(その頃は所有するディスクも少なかったので必然的に1枚をきくサイクルも多くなりました)

しかし、繰り返しきいたことで曲の構造を知り、ポリーニのテクニックのみにならない曲の隅々まで神経の通う明晰な音色で弾かれることで、古典的所要に基づく後世への先駆けとなった作品としてきけるようになりました。また、後期の作品集も後のベルクやシェーンベルクなどの新ウィーン楽派誕生の萌芽を感じます。それがソナタとのカップリングも見識というか、理に適っていますーもっとも彼がハンガリー狂詩曲だ、愛の夢やらカンパネッラを弾くとも思いませんがー後期作品は録音も少ないので貴重でもあります。

 

シェーンベルク:ピアノ作品集(録音:1975年)

わぁ!無調!十二音技法の音楽・・・と敬遠しないでください。浮遊感やパッと火が付き消えていく花火のような盛り上がりと寂しさ、そこはかとなく漂う無常観があり、こういった音楽は冴えた音色で濁りなく弾かれるポリーニでこそききたいです。

これらの作品の構造、和音がどうだ、音列の反行形・逆行形が何かを理解していなくてもそこに流れてくる音楽に真摯に(ながらききでも大丈夫です)耳を傾けていれば自分の耳が鋭くなった気がすること受け合いのディスクです。収録トータル・タイム50分というのも丁度いいです。

まとまったシェーンベルクのピアノ作品の録音は故・坂本龍一教授ご推薦のグレン・グールド盤くらいしか知りませんので、こちらも長くきかれて欲しいです。

 

バルトーク:ピアノ協奏曲第1番・第2番(録音:1977年)

指揮:クラウディオ・アバドシカゴ交響楽団

バルトークのピアノ協奏曲は筋骨隆々で逞しく、特定のスポーツで勝利するためだけに鍛え上げられた体格を持った人間が、並み居る対戦相手をバッタバッタとなぎ倒していくような感じを受けます。それを前面に押し出してきているのがこのディスク。速い楽章での陶酔的なリズムと熱狂。音楽をきいているよろこびか、身体的な快楽としてのよろこびか分からないような感覚になります。

打楽器的に扱われるピアノの音色のピリピリ感、全曲に渡り様々なモチーフ・動機・リズムが登場しますが、その表現の切り替えもレスポンスよく颯爽としています。

アバドの指揮するシカゴ交響楽団も同様です。そのオーケストラの表現力をいちばん感じるのは、第2番第2楽章―第1番も通じて唯一弦楽器によるエレジーのようなメロディーが奏される時、腰が据わった重厚さと静けさの繊細な表現に発揮されているのではないでしょうか。

 

今週は先日亡くなったイタリアのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニさんを偲びオススメのディスクからリスト、シェーンベルクバルトークのご紹介投稿でした。

まだご紹介したいディスクがありますが、改めて投稿したいと思います。