前回定期演奏会に行ったのは息子を連れて行った第74回の定期演奏会でした。
その息子が少年野球をやるようになり、今年からは高校球児になりました。その間小学校・中学と保護者代表を務めた関係で週末は親子共に野球ざんまいで、久し振りにきいてきました。
今回は第80回を記念してか?アマチュア・オーケストラには難曲といえるフランクの交響曲 ニ短調をメインプログラムに据えています。どのように常任指揮者の丸山嘉夫さんが仕上げるのか興味もありました。
フランク以外のプログラムは以下の通りです。
1曲目は言うまでもなく、誰もが耳にしたことのある通俗名曲。以前このブログでも紹介したこともありますが、私にとっても思い出深い曲です。
以前投稿した曲紹介リンク
Selct Classic(1)~スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲 - 音楽枕草子 (hatenablog.com)
生演奏できくのは初めてです(吹奏楽への編曲版はきいたことがありましたが)
コンサート1曲目、そしてトランペットのファンファーレという緊張する場面ではありましたが、奏者は力いっぱい吹いていました。途中コケそうになりながら、こちらにも緊張が伝わってくるものでした。
オーケストラ全体もけっこう「カタい」空気でしたが、トランペット奏者の成功により徐々にノッテきました。
アンダンティーノ・コン・モルトでのジプシー風のメロディーを奏する時にも弦楽器群にもまとまりがあり、哀愁を感じる歌いっぷりでした。
2曲目、今まで身を入れてきいたことがなく、なんとなく耳にしていた作品なので演奏云々を言えないですが、先日、熱っぽいバーンスタイン盤をきいたせいか、とっても落ち着いたというか、石橋を叩いて渡るような演奏でした。みんなで一生懸命に弾く・吹くといった感じで、ちょうど席の関係で目の前になったチェロの第3~4プルト列の奏者の方など、ピアノでバイエルを習いだした方のようで、譜面を見ながら弾くのが精いっぱい。という表情でゆとりすら無さそうでした。
ただ、パーカッションはリズム良く存在感がありましたので、アンサンブルが整ってくればもっと効果があがったのではないでしょうか?
休憩後はメインのフランク。
第1楽章の冒頭の低弦による地底からの響きのように動機を奏するところは、プロのオーケストラでも緊張する箇所になると思いますが、アマチュア・オーケストラにとってはやはりハードルが高かったですね、皆で探り合うように、おずおずと弾きだされ、指揮者とコンサート・ミストレル(いつの間にか以前在籍していたコンサート・マスターから代っていました)の力もあり、なんとか29小節のアレグロ・ノン・トロッポまで到達させた感がありました。そこから79小節までも同様で、それ以降は「よーいドン!」とばかりに奏者も思い切って弾き始めました。
第1楽章全体が寄せては返す波のように音楽が繰り返され、ppやffの全奏も多く、そのアイザッツがビシッと揃わないと締まらないのですが、どうしても揃わない―皆の顔色を見て弾きだすような雰囲気があり、指揮者とコンサート・ミストレルを信じて弾かんかい!とも思いました。
もうひとつ残念だったのが、165小節からこだまのようきこえる木管楽器の受け渡しはスムーズに、デリケートな仕上がりでよかったのですが、その後に続く175小節からのホルンがdolceで主要テーマを吹くところはきき所のひとつですが、うっとりとはきけなかったことです。
第2楽章では弦楽器、木管楽器、特にコーラングレ(イングリッシュ・ホルン)とハープに注目をしてしまいますが、柔らかい響きがきけて良い仕上がりでした。特にオーボエ奏者とフルート奏者の安定した響きは出色でした。(以前はハープ奏者を用意できなかったのか、何かの曲をきいたときエレクトーンで代用していていた事があり、それならプログラムに入れなければいいのに。とがっかりした記憶がありましたが―まあ、当然この曲を取り上げるという事はハープ奏者を確保していなければならないのですが―その頃に比べれば進歩しているのかな?と思いました)
ただ、96小節からのメンデルスゾーンのような、幻想的で妖精が出てきそうなスケルツォを求めたいところですが、全体にやや焦点が定まりきらずにせかせかと通り過ぎてしまった感がありました。
そして終楽章。始まった瞬間、驚きました!鋭い弦のトレモロから管楽器群のff!つづいてたくましく弾かれる弦楽器の支えを得て、管楽器群が延び延びと吹かれました。
これをきけただけでもチケット代1,000円の元を取りました。
その後はアヤシイ所は当然ありましたが、丸山さんの無駄を省いた、的確な指揮によりオーケストラ全体に気持ちが入ったようになり、ヴォルテージがあがっていきました。
金管楽器も300小節からのffの力強い吹奏、ティンパニの打ち込みがホール全体に響き、その音量と音圧に気押されました!
今回はステージ下手側の前目に座ったせいか、やや飽和気味にきこえる瞬間もありましたが、音楽に集中し、熱中していく奏者たちの空気感は、プロのオーケストラのように「生業」にしていない皆さんだからこそ生まれた「音楽」を感じることができたのは収穫のひとつです。
また、ディスク、スコアからは見えて(きこえて)こない各楽器の響きの上での役割、セカンド・ヴァイオリンや木管楽器の動きなどはライヴでこそ知ることができました。
初演は大失敗となったにも関わらず、フランクが帰宅して妻にまず言ったといわれる「自分の思った通り響いたよ」と喜んでいたいうエピソードについても僅かではありますが分ったような気がしました。
アンコールはベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」から「ハンガリー行進曲」が演奏されました。
同じアンコールでも、古いライヴ録音できいたジョージ・セルのような「宵越しの金は持たない」とばかりにアンサンブルの乱れも気にせず、一気呵成に弾き切ってしまったものではなく、いい意味で言うと落ち着いた=きっちり弾いていているので、中身のない盛り上がりだけの演奏をきかされるよりよっぽどいいですが、力演となったフランクの後では蛇足になった感が。アンコールはいらなかったかも。
マエストロ丸山嘉夫さんの御年はおいくつなのでしょうか?丸山さんの指揮で合唱団員として共演させていただいたのが中学生だったので、もう35年は経過しています。その頃は結構動きの大きい指揮者と思っていましたが、近年は落ち着いた指揮姿になっています。
これからも健康にご留意いただき、松本交響楽団を始め、隣県のアマチュア・オーケストラの指導をされていらっしゃるようですので、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
あと、注文を一言。プログラムのサイズについて。
もう少し小さくしませんか?B5サイズor今回のサイズの半分くらいに。会場で目を通すだけで、演奏中は見ることがないのでしまいたいのですが、大きすぎるのです。通常の演奏会であれば、海外でも会場で渡されるプログラムは一般的な印刷紙のペラペラなものです。
コスト高の現在です。そんなところの経費は削減していただいて、楽団運営にお使い下さい。