音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

Selct Classic(10)~アーベル:無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのための小品集から

今週は先日投稿したカール・フリードリヒ・アーベルの生誕300年を記念して、彼の音盤・作品紹介とさせていただきます。

以前のブログで投稿した通り、彼はヴィオラ・ダ・ガンバ(イタリア語で、ドイツ語ではガンベ=Gambeとなるそうです)奏者として活躍をしておりました。

rochade.hatenablog.com

 

下はヴィオラ・ダ・ガンバと写るアーベルの肖像画

ファイル:Karl Friedrich Abel by Thomas Gainsborough.jpg ...

しかし、彼の時代はバロック時代が終焉となり、前古典派といわれる時代になっており、そのヴィオラ・ダ・ガンバという楽器廃れていく時期とも重なり、アーベルは最後のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者と言えるかも知れません(ある意味、絶滅危惧種のような存在だったのではないでしょうか)

ヴィオラ・ダ・ガンバとは「脚のヴィオラ」といわれ、チェロのように足で支えて弾くのでその名前が付けられました。J.S.バッハの「マタイ受難曲」でのアリア「甘き十字架」やブランデンブルク協奏曲第6番などバロック時代には欠かせない楽器でしたが、音量が小さいため、音楽の演奏される場が宮廷から一般の規模の大きい音楽会場で演奏されるになると力不足になってしまい、廃れていってしまいました。

昔はチェロで代用されていたのでしょうが、近年の古楽復興によりその音色の魅力をきくことができるようになりました。

今回ご紹介する作品は手稿楽譜としてニューヨークのライブラリに保管されている、全27曲(WKO186~212)の無伴奏作品集です。

とても疲れた時や寝る前のひととき、何をするでもなく音楽をと思った時にきくと心に溜まったオリやつかえがサッパリ洗い流されていくようです。

バッハの無伴奏チェロソナタはあまりにも偉大過ぎて近づき難い、効くのには覚悟!?がいる作品群ですが、このアーベルの無伴奏作品集はそこまで深刻な作品ではありません。しかし、深い静けさがあって凛としたところ、この楽器のチョットくすんで武骨なサウンドがとても素敵な作品です。

【Disc】

私がきいているのは、この楽器の第一人者ヴィーラント・クイケンが全27曲からニ短調の5曲(WKO205~209)を組曲風に編んで弾いたものです。

「男は黙って弾くだけ」のように求道精神に満ちた無伴奏演奏で、先に書いた作品の魅力を最大限にきかせてくれます。また、このディスクにはめったに耳にしない無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバ作品が収録されているのもいいです。

機会があれば全27曲ききたいのですがディスクがあるのでしょうか?
*「WKO」とはクナーベという人が付けた作品整理番号だそうです。