音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

Selct Classic(7)~パガニーニ:ソナタ・コンチェルタータ

こう毎日暑いとベートーヴェンブルックナーマーラーなどの重量系の音楽をきく気力も失せるので、休みの日の音楽鑑賞はBossa Novaでもきいて午睡をしていたいです。

そんな時は肩ヒジを張らずにきくことのできる、ニコロ・パガニーニ Niccolò Paganini(1782~1840)のヴァイオリンとギターの二重奏曲「ソナタ・コンチェルタータ 」イ長調 M.S.2はいかがでしょうか?

もっぱら超絶技巧を持ったヴァイオリニスト、作曲家として名を成したイタリア出身のパガニーニは悪魔に魂を売り渡しその超絶技巧を手にいれたとか、演奏中に弦が切れていき、最後はG線1本だけになっても弾き切ったなど、伝説?伝承が先行している人物ですが、その彼が1801年~1804年、まだ20代の頃に寵愛を受けていたトスカーナのとある貴婦人の邸宅に住み込んでいた時(簡単に言えば居候)に書かれた作品だそうです。ギターを好んでいたその婦人の影響を受け、ヴァイオリンそっちのけでギターばかり弾いていたそうです。ヴァイオリンとギターの両方で一流の名手になろうとしていたとも言われており、結局はヴァイオリンひとつに絞り活動をしていくわけですが、ギターについても生涯を通じ愛好していたそうです。

また、意外なことにパガニーニはギターのために100曲を超えるソロ曲を、40曲ほどの室内楽を残していて、当然ながらこの時期に集中して書かれています。

室内楽の基本はヴァイオリンが主役となり、ギターが伴奏を受け持つスタイルとなりますが、「ソナタ・コンチェルタータ」=「協奏曲風ソナタ」の名前の通り、急緩急の3つの楽章から成り、ヴァイオリンとギターが共演する作品です。キンキンと勘に触るようなヴァイオリンの超絶技巧もないので、ゆったりとした気分できくことができます。

第1楽章 アレグロ・スピレトーソ 冒頭のヴァイオリンとギターによるメロディーから明るく注ぐイタリアの太陽の日差しのようで、いっぺんで耳に残ります。2つの楽器がおしゃべりを楽しむように曲が進みます。

第2楽章 アダージョ、アッサイ・エスピリシーヴォ さっきまでの日差しが雲に隠れてしまったようになり、憂いを帯びた「哀愁歌」みたいなメロディーが出てきます。ちょっぴり幻想的なところもあります。

第3楽章 ロンド、アレグレット・コン・ブリオ、スケルツァンド ほろ酔いで踊る陽気さ、パガニーニからはあまり想像できない、軽快で流れるようなメロディーが素敵です。愛する人と充実な時を過ごしている喜びを歌っているようで、やっぱりパガニーニにもイタリア人(ジェノヴァ生)の血が流れていることを改めて実感します。

【Disc】
ヴァイオリニスト、ギル・シャハムとイェラン・セルシェルにより制作された「パガニーニ・フォー・トゥー」というヴァイオリンとギターの二重奏ばかり集めたアルバムの1曲めに収録されていて、初めてきいたときから惚れ込みました。

         

こういった作品は実際に弾いてみることも楽しみのひとつではないでしょうか?技巧的にもヴァイオリン、ギターの心得のある方であればチャレンジできると思います(パガニーニを弾けます。といえます!)