音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

クラッシク音楽YouTube

 近年は音楽を「パッケージソフト」として購入するということが、過去のものになり―もっとも店舗に赴かなくてもワンクリックで世界中の各ジャンルの音楽を入手することは当たり前になっています。最近の方はコンポ・CDプレーヤーを所有しておらず、音楽はもっぱらスマートフォンで聞くものらしいです。

無料動画配信サービスも非常に充実しており、名曲・名演といわれるものから「こんな演奏があったの!?」というものまで視聴することができます。団体によっては演奏会をライブラリーのように公開やライヴ配信も!しており、地方在住者で、このような社会環境下で長距離移動・県外移動も考えて行動が必要な時代にとてもにありがたい取り組みです。

動画配信のメリットはイニシャルコストを抑え、その視聴数に応じてランニングで収入を得ることができるシステムだと思うのですが、その為に個人(個人事業者)の参入も簡単なのでその占める割合が多いらしく、クラシック音楽においても、純真に演奏をアップしたものから、作曲家や演奏家について述べている動画もありますが、この時代、ネットや本に書いてあるようなことを国会答弁やニュース原稿の様に何の思い入れもなく、ただ一方的に喋られても・・・となってしまいます。また、いわゆる「意識高い系」の方が=クラシック音楽はハイソでおしゃれ、自分を彩る香水のようにーアクセサリー感覚みたいなお気軽な音楽紹介されてもねぇ。そこにグッズ販売などが絡み、前面に出てくると「クラシック音楽」が動画投稿者のビジネスツール&自己顕示欲の承認要求に感じてしまい、その人が「感動した!」「心が震えた」「涙が出てきた」etc.といわれても・・・何を聞いて・見て言っているんだろう。クビを傾げてしまい、これで幾ら稼いでいるんですか?と聞いてみたくなります。

そこに「メンバーシップ」なる制度?もあるらしく、毎月定額を払うと限定で観られる動画も配信しているそうですが、基本素人やマニアが勝手気ままにお喋りしているものにたとえ数百円であっても対価を払うかというと・・・それならディスクや本を買うなどに回したいです。

そのように玉石混合の動画配信サービスのなかで、教えられることの多い動画が、声楽家の車田和寿氏の「音楽に寄せて」です。

リンク先:

www.youtube.com

作曲家・演奏家紹介もありますが、本業であるオペラの一作ごとの解説、オーディオや今の音楽界を取り巻く問題=これは現役の演奏家だからこそ、ただ音楽の良さを紹介するだけではなく、それをきく聴衆や音楽界への啓蒙にも力を注ぎたいという熱意が感じられます。

ご本人も動画について「音楽についての話」をしていると思ったら、

「音楽に関する話」だけで終わっている事も多い。「音楽そのもの」について話をしたい。と述べられている通り、間口は広くて初心者も入り易く、それなりにききこんできたクラシック音楽愛好家、そして演奏家や音楽業界で仕事をしている方でも興味を持てる動画もあります。それも車田さんは長くドイツを中心に活躍をされているプロの演奏家にもかかわらず、大上段に構えて話すのではなく、視聴者に語りかけるように真摯にお話しされている事も好印象で、動画を最後まで観ることができます。

最近視聴して心に残ったものは「音楽の付加価値について」です。

近年は音楽そのものではなく、演奏家をうまくプロデュースして売り出していること=演奏家の容姿(特に女流演奏家)ばかり強調したCDのジャケットデザインが多くなっている事を指摘しています→言われた通りジャケットを改めて見てみましたが、確かにおっしゃる通り!ピアニストやヴァイオリニストはきれいなドレスを着てこちらを見つめています(それに魅かれて購入したディスクもあり。。。)

それに、良くこの事を触れてくれた!と共感したのは「障害」や「苦労話」を付加(価値化)することで、音楽の本質を見失うと述べておられる事です。

この手の話は以前からいくらでもありますが、それを観ながら、前者はある日本人男性ピアニストを、後者はこちらもある日本人女流ピアニストを思い浮かべました。まさにプロデュースの方法で本人の実力・能力・技量はともかく、CDはベストセラーとなり、メディアに取り上げられ、商品化できるということ。

音楽界への苦言と提言、提供される商品をきき手側も、本質をきき分ける(見極める)耳と能力も必要ですよ。と言われていように感じます。

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