現在第19回ショパン国際ピアノコンクールが開催されています。
中山七里さんの音楽家題名ミステリー・シリーズ?の「いつまでもショパン」(2014年宝島社文庫刊)を読みました。岬洋介シリーズ(

今回の舞台はまさにショパン国際ピアノコンクールの開催期間中の
そういった作品なのでタネ明かしに注意して作品をご紹介したいと
冒頭いきなり題名からは想像できない、スパイ小説かトム・
岬洋介はショパンコンクールに出場するため、
地元出身で優勝候補という周辺からの圧力、「ポーランド人の弾くショパン」に絶対の自信。自負を持ってコンクールに臨みますが・・・コンクールの会場で衝撃的な殺人事件が発生します。
音楽への純真な情熱だけではなく、厳しいコンクール内部の競争も書かれています。また、この著者はシリーズを通じて音楽が演奏されている時の楽曲描写が素晴らしく―音楽を文章で書くという難しいのですが―音のニュアンスや響きが鮮やかに文中に描かれています。
一方で殺人現場やテロ爆発現場の凄惨な描写はその対象のように、そしてそれらを憎む著者の気持ちも入っていると思います。でも以外に著者は軍事マニアでは?と思われるくらいに飛行機、兵器、銃器の選択と描き方がリアルなのです。
コンクールの優勝者は誰か?テロ犯人は誰か?そして岬洋介の隠された秘密とは?ミステリーと社会派的な面が絡み合ってストーリーが進むところは読者を飽きさせずに次のページへの駆り立てます。
しかし、音楽がテロ攻撃を停止させるところやコンクールの結果や真犯人が分り解決への向かうところなどはあまりにも出来すぎ、トートツでなので早急な幕切れに感じました。私自身が素直ではないせいかもう少し不条理・邪悪な面もあっても良かったのでは?中山さんの著作は本の世界だけでもせめて平安で救いのある理想的な世界を描こうとしていると思わせるのが特徴でもありますが。
読後は若い時を思い出して拙い指でショパンを弾いてみたくなりました(実際にはショパンを弾くのではなく、「ショパンらしき」ものを弾く程度にしかなりませんが)
