音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

【アーカイヴ】演奏会~ありがとう保田紀子オルガンリサイタル

明日投稿予定の「山田由希子 ホールオルガニスト就任記念コンサート」の前々任者保田紀子さんの退任コンサート感想記の別ブログから引越しさせた記事をアーカイヴとして投稿させていただきます(明日の記事でも言及をしております)

 

地元の松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)で1990年から専属オルガニストを務められた保田紀子さんが3月末で退任となり、その記念に「ありがとう保田紀子オルガンリサイタル」が開催されるとのことで、その申し込みをしていた入場整理券が返信されてきました(入場無料の事前申し込み制)

・・・と書いていながら大変申し訳ないですが今まで保田紀子さんの演奏はきいた事が無く、ホールのオルガンをきいたのは20年近く前にエドガー・クラップというオルガニストでのただ1回のみ。また、普段オルガン曲もほとんどききません(あのぶ厚い響きを自宅で再生することは難しいこともあるので)

その演奏会の感想記です。

(パンフレット・・・なんだかセンスが感じられませんね・・・いくら無料招待コンサートとはいえもっといいデザインなかったのかしらねぇ)

当日の演奏曲目

オルガン曲はほとんどしらない私ですが、冒頭ブルーンスの「プレリューディウムト長調」―初めてきく作曲家・作品でしたが感心しました。

ブルーンス(1651~1697)はブクステフーデの弟子だったらしいのですが、32歳の若さで亡くなってしまったそうです。細かいガラス片みたいなものが光を浴びてキラキラ天から降ってくるような高音の美しさ!フーガのめくるめく自由な飛翔!バッハの作品と似ていると思いました。

そして大バッハパッサカリアハ短調BWV582。最初の足鍵盤で呈示させる印象的なテーマが次々と変容していく様子が見事です。

休憩後のヴィドールのオルガン協奏曲第5番からの「トッカータ」。オルガン曲の中では有名らしいですが私はただチャラチャラ鳴っているだけであまり好みの音楽ではありませんでした。その後のフランクのプレリュード、フーガと変奏曲ロ短調作品18とリストのバッハのカンタータ「泣き、嘆き、憂い、おののき」とロ短調ミサ曲「十字架につけられ」の通奏低音による変奏曲はオルガンの性能を堪能させる曲で、静かな部分では思考的な感じを与えられました。

保田さんの演奏は丁寧に音楽をききてに届けることに努めているようでした。改めて感じたのはオルガニストがピアニスト以上に体力仕事であることで、両手のみではなく左右の足を大きく開いたり、腕は右の鍵盤にあるのに足は左の鍵盤を押したりと・・・キツそうな態勢で演奏していました。

これからはオルガン曲もたくさんとはいかないですが、機会があればききたいと思うようにしてくれた保田紀子さんに感謝です。ありがとうございました。

ただ当日の聴衆―これが無料演奏会(事前申し込みの抽選で選ばれた人)の客か・・・と思う人ばかりで、1曲めから居眠りしている人の多さ!(私の隣の人もそうだった)たぶん3/1の人はほとんど寝ていたのでは?

演奏会後に行きつけのデスクショップにブルーンスのディスクがあるのかと思い寄りましたが、国内現役盤には無いとのこと。そこでご店主からザ・ハーモニーホールのオルガンは会場とキャパと合っていないらしく、低音が不足しているとの情報をおしえていただきました(ご店主曰く自宅のオーディオの方がよく鳴っているそうです!)そういえば音楽会に行くとき、車の中でレオンハルトのオルガン作品集をきいているとき空気が震えるような低音がきこえていましたが、ホールできいたバッハからはそれほど響いていなかったような気が・・・?

(私の場合、自宅より車載しているBOSEのオーディオの方が高性能という影響もあるかもしれませんが・・・)

そこで助言されたのがホール後方席ではなく、最前列で見上げるようにして低音を思い切ってカットしてきいたほうがいいのではないか?ということです。今度チャンスがあれば試してみたいのですが、やっぱりオルガン・コンサートの場合、半分から後ろから席が埋まるのでいきなり一番前へ行って座るのはシャイな私(笑)としてはかなりの覚悟と勇気が必要です。