音楽枕草子

クラッシク音楽や読書から趣味などの身辺雑記も含め、感想として綴ったblogです。

N.ナット・オ・ダーク「1793」「1794」「1795」を読む

息子の通う高校の野球部が春季大会において決勝戦まで駒を進めることができたので、週末は応援・送迎等で音楽をきいたり、このブログの更新等が滞っていました。昨日も新潟県上越市まで練習試合の観戦に行ったりとしておりましたが、これで夏季大会までは週末も時間ができそうです。

今週はコツコツと時間があるときに書いていた海外ミステリーの「読書感想文」にお付き合いいただければ幸いです。

「北欧発大型歴史ミステリー」の宣伝、舞台設定がフランス革命期のスヴェーデンというのも興味深く、また題名が「1793」「1794」「1795」という年代のみの3部作というのもハードボイルド!?的な潔さもあり、歴史と謎解きがどのように編まれていくのだろう?という関心もありました。

       

          第1作「1793」2022年7月刊行

          第2作「1794」2022年9月刊行

          第3作「1795」2022年10月刊行

昨年の秋までに文庫本にて刊行していたのですが、3部作揃えてから読もうと思い、2月から読み始めましたが・・・結論から言うと読むのが辛かった、何度か挫折しそうになりながら、4月末に完読しました。。。1冊が600ページ近い・超えの大作ではありますが、あまりネタバレや内容を示唆する事は避けますが描写の表現が過激というか、グロテスク(犯罪内容も含め)

謎解きというよりも、登場人物のそれぞれの抱える闇・影が終始つきまとい、それが伏線になっていたりするのですが、そこに行きつくまでの表現描写が辛い。

第1作「1793」は事情があり、解決までのリミットがあるという事、そして、探偵ものの定番である「名探偵」&「助手」=ホームズとワトソン、ポワロとヘイスティングスのコンビ物なのでそれなりに読み進めましたが、第2部「1794」に入ったら読むペースが牛歩になってしまいました。。。

クラッシク音楽に関する記述・描写もあるのですが(グルックのオペラについての記述特に皆さんも知っている、バロックの「ある曲」も登場しますが、しばらくはその曲と、この作品での描写が重なるのできくのは控えます(有名な曲なので偶然耳にしてしまう可能性はありますが・・・)

先日、ヨーゼフ・マルティン・クラウスの交響曲について書きましたが、ちょうどグスタフ3世とクラウスの亡くなった2年後が、この本の始まりになります。

国王はグスタフ3世の息子、グスタフ4世アドルフの治世下になります。革命を嫌ったスヴェーデン王国は反革命・反フランスの立場で国民を抑圧し、監視下に置いていました。そのことはこの作品から読み取れます。また、宮廷で貴族や特権階級の身分はぜいたくな暮らしをしていたが、国民は不衛生な都市で、飢えと貧困のどん底にあることがしっかりと描写されている事は、この作品を読んで感心した部分です。

当時のスヴェーデンは領土拡張狙いロシア帝国と戦い、勝利はしたものの多大な消耗があったはずですし、今度はフランス革命を警戒するために軍隊の整備をしていたと思います。

その時代において「軍事力」=「国力」であったことは歴史で教えられていますが、それから200年以上という時が経過し、ふたつの世界大戦はもとより、世界各地で紛争や戦争をしてきてしまったのに、未だに人類は同じことを繰り返そうとしているように思います。

「富国強兵」と歴史の授業で習いましたが、その名の通り、まずは『富国』=国民が平等に幸せな生活ができなければ意味は無いと思います。それが整ってから「強兵」は考えましょう。現在の世の中の動きは、仲良くできない国は仮想敵国として排除しよう、という感情を国民に植え付け、増税などの負担は多少の痛みは我慢させ、「富国」を無視して『強兵』のみに力を入れているようにしか見えないように感じます(そこには日本の外交能力の欠如・成長の無さ、という根本的な問題もありますが・・・)

最近完読した本の内容があまりに読み通すまでが辛い道のりだったので、それ以外の話題にしてしまいました。

お付き合いいただき、ありがとうございました。